
AI採用とは?2025年の進化と2026年の最新トレンドを徹底解説
💡 この記事で学べること
- 採用AIの基本概念と注目される背景
- 2025年に起きたAI技術・採用領域の主な変化
- 採用プロセス別のAI活用事例と導入効果
- 2026年に予測される採用AI活用の3つの変化
- 自社で採用AIを導入・推進するためのロードマップ
AI採用とは
AI採用とは、AI技術を活用して採用業務を効率化・高度化するソリューションの総称です。求人票の作成支援、スカウト文面の自動生成、書類選考のスクリーニング、AI面接など、採用プロセスの各フェーズでAIが活用されています。
日本企業においても採用AIの導入は加速しており、レバテックの「IT白書2025」によると、約56.9%の企業が採用へのAI活用に前向きであり、すでに20.6%が導入済みという結果が出ています。
AI採用が注目される背景
AI採用が注目される背景には、主に3つの要因があります。
1つ目は、人材獲得競争の激化です。少子高齢化による労働力人口の減少に伴い、優秀な人材の確保は年々難しくなっています。採用担当者の業務負担は増大し、限られたリソースで成果を出すことが求められています。
2つ目は、生成AI技術の急速な進化です。2025年にはGPT-5やGemini 3.0など、高性能なAIモデルが次々とリリースされました。テキストだけでなく画像・音声・動画を総合的に理解するマルチモーダルAIの進展により、面接映像の解析やソフトスキル評価も可能になりつつあります。
3つ目は、採用プロセスの効率化ニーズです。書類選考や面接調整など、定型的な業務をAIに任せることで、採用担当者は戦略立案や候補者との対話といった人にしかできない業務に集中できるようになります。
このように、人材獲得競争の激化・AI技術の進化・効率化ニーズという3つの要因が重なり、AI採用への注目が高まっています。
2025年のAI採用活用の4つの変化
2025年は採用領域におけるAI活用が大きく進展した年でした。採用プロセスの各フェーズでAI導入が進み、具体的な成果事例も増えています。
変化1:採用広報・母集団形成でのAI活用
採用広報・母集団形成の領域では、AIによる求人票の自動作成や広告配信の最適化が進行しました。
従来、求人原稿の執筆や求人媒体への掲載作業は人事担当者の大きな負担でしたが、現在はAIが下書きからリライトまで自動で支援できるようになっています。ANDASUなどのAI求人作成ツールが登場し、採用広報業務の効率化が進みました。
スカウト業務においてもAI活用が主戦場となっています。候補者プロフィールからのパーソナライズ文面生成、要件に合う候補者の自動抽出、送信の自動化など、「AIスカウト代行」サービスが増加しました。
Panasonic Holdings(パナソニックHD)では、生成AIチャットボット「AI Career Supporter」を導入し、就職希望の学生からの質問に24時間対応するとともに、適職のレコメンドを実施。応募単価25%削減という成果を上げています。
変化2:書類選考でのAIエージェント活用
書類選考工程では、AIエージェントによるレジュメ解析と求人とのマッチ度判定が普及しました。
各企業専用に調整されたAIエージェントが、求人票に記載のスキル要件や職務内容をもとに応募者の履歴書・職務経歴書を解析し、経験の適合度をスコアリングする仕組みです。
一方で、学生側もAIでエントリーシート(ES)を作成するようになったため、ロート製薬のようにES選考を廃止し、直接対話を重視する「Entry Meet採用」を導入する企業も現れています。
変化3:面接・評価でのAI面接官導入
面接支援の領域では、AI面接官と録画解析による面接・評価の効率化が進みました。
AI面接サービスでは、候補者はスマートフォンで24時間365日好きなときに面接を受けられます。企業側はAIが録画回答を統一基準で多角的に評価・可視化したレポートを得ることができます。三菱重工業やキリンホールディングスなど大手企業も初期選考にAI面接官を試用しています。
変化4:大手企業での導入事例と成果
2025年は大手企業での具体的な成果事例が多数報告されました。
・サッポロホールディングスは、エントリーシートの選考にAIを本格導入。人事担当者がES選考にかける時間を約40%削減できる効果を確認しました。AIが単なる合否判定だけでなく「候補者の強み」を抽出してサマリーすることで、面接官が事前に読むことでより深く質の高い面接が実現しています。
・ソフトバンクは、2023年から新卒採用において動画面接のAI分析システムを導入。一次選考時間を約70%削減することに成功しました。削減された時間により、自社にマッチしている学生との対話時間を確保し、人でしかできないプロセスに時間をかけられるようになりました。
・横浜銀行では、年間数千件に及ぶエントリーシートの初期スクリーニングにAIを活用。過去の優秀社員のエントリーシートパターンを学習させたAIシステムが新規応募者の適性を評価し、書類選考の工数を約40%削減しています。
2026年に予測されるAI採用活用の3つの変化
2026年時点で、採用領域におけるAI活用は本格的な普及期に入ると予測されます。技術の進化、業務プロセスの変化、候補者の変化という3つの観点から見ていきましょう。
ポイント1:マルチモーダルAIとエージェント機能の進化
技術の進化面では、生成AIや機械学習モデルの高性能化・高機能化が引き続き進展します。
マルチモーダルAI(テキストだけでなく画像・動画・音声も総合的に理解するAI)の進展により、面接映像の解釈精度や感情推定の信頼性が向上。これまで難しかったソフトスキル評価もより的確になる可能性があります。
エージェント機能(AIが自律的にタスクを遂行する仕組み)の進展により、採用業務は「人がAIに依頼して作業する」段階から「AIが採用プロセスの中で次に必要な作業を判断し、実行まで進める」段階へ移行する可能性があります。
ただし、技術進化に踊らされず、自社の採用にとって何を重要視するかの見極めも大切です。
ポイント2:採用担当者の役割が「オペレーション」から「戦略」へシフト
業務プロセスの変化として、採用担当者の役割が「オペレーション中心」から「戦略・創造中心」へシフトしていくと考えられます。
米国では既にAIを使って採用市場の動向分析や社内のハイパフォーマーの特性分析など高度なデータ分析に人事が取り組み始めています。得られたインサイトを基に採用戦略や人材要件を見直す動きが出てきています。
AIのサポートでオペレーションが効率化された先には、人材育成・組織開発・将来計画・データ分析といった戦略立案業務に時間を使えるようになります。
ポイント3:候補者もAIを使うのが当たり前に
候補者の変化として、AIにどう評価させるか対策するケースが増加すると予測されます。AI面接に向けて練習する、応募書類もAIを使って磨き上げるなど、いわば「AI対策」を踏まえた新たな就活手法が登場する可能性があります。
この流れを受けて、ロート製薬はエントリーシートによる書類選考を廃止し、対話を起点とした「Entry Meet採用」を導入しました。生成AIによりESが均質化し「文章で個性の優劣がつかない」という課題に対応した取り組みです。
企業側も、AIで均質化した応募書類をどう評価するか、真の人物像をどう見極めるかという新たな課題に向き合う必要があります。
AI採用導入を成功させる5段階のレベル設計
自社の採用でAI活用を進めるにあたり、現状どのレベルにあり、どこを目指すのか把握することが重要です。AI採用活用には5つの段階があります。
第1段階:スポット活用(生成AI=道具)
担当者が個人で使う段階です。業務プロセス自体は変えません。
- 主な活用:求人票・スカウト文のたたき台、リライト、要約、面接質問の作成、評価コメントのドラフト
- 成果指標:作業時間削減、作成物の品質均一化、対応速度向上
- つまずきポイント:属人化(使う人だけ効果が出る)、品質のブレ
第2段階:チーム標準化(テンプレ+ガードレール)
チームで「使い方」を標準化する段階です。再現性が出始めます。
- 主な活用:プロンプト・テンプレート・チェックリストの共通化、禁止事項やレビュー手順の整備
- 成果指標:品質のばらつき低下、レビュー工数削減、対応SLA改善
- つまずきポイント:テンプレート疲れ(形骸化)、更新されない
第3段階:プロセス統合
AIが採用プロセスの中に組み込まれ、データが流れる段階です。
- 主な活用:面接録画の要約、評価観点の抽出、面接官支援、候補者体験の自動改善
- 成果指標:Time-to-Hire短縮、面接工数削減、返信率・歩留まり改善
- つまずきポイント:データが整っていない、現場の運用変更への抵抗
第4段階:意思決定支援(スコアリング+説明可能性)
AIが判断の材料を継続的に出し、人が意思決定する段階です。
- 主な活用:求人要件とのマッチ度スコア、懸念点・確認質問の提示、採用要件の改善提案
- 成果指標:Quality-of-Hire改善、評価の一貫性、面接官間の一致率向上
- つまずきポイント:ブラックボックス不安、説明責任
第5段階:自律化(AIエージェント)+経営統合
AIが自ら動き、採用KPIと経営がつながる段階です。
- 主な活用:採用オペレーションの半自動化、採用計画(需要予測)と採用活動(供給)の連動
- 成果指標:採用コスト最適化、採用充足率、辞退率/早期離職率の低下
- つまずきポイント:責任分界(誰が最終責任か)、ガバナンス設計
AI採用活用を推進する3フェーズのロードマップ
AI採用活用を定着させるには、段階的に進めることが重要です。ツールを導入しても使われなければ意味がなく、一度にすべてやろうとすると失敗します。
Phase1:導入期(〜1ヶ月目)
目標:個人の成功体験を作る
移行基準:1-2名が週1回以上AIを業務で使用
まず1-2名が先行して試行し、成功事例を作ります。
- AI推進担当(個人)を1-2名選定
- キックオフワークショップを実施
- 使用するツールを決定(まずはChatGPTやGeminiから)
- 割り振った業務でAI利用
- 作業時間のBefore/Afterを記録
- 週次MTGで進捗共有やデモ
Phase2:展開期(1-2ヶ月目)
目標:チーム全員が使えるようになる
移行基準:全員が基本操作を習得、テンプレート整備完了
個人の知見をチーム全体に展開します。
- 個人が使ったプロンプトを文書化
- Notion/Googleスプレッドシートで共有フォルダ作成
- チーム勉強会の開催(ハンズオン形式)
- ペアワーク:2人1組でAIを使った求人票作成など
- 週次の振り返り会で「今週使ってよかったプロンプト」を共有
Phase3:定着期(2-3ヶ月目)
目標:仕組み化と自動化
移行基準:ワークフロー自動化導入、KPI達成
個人の習慣をチームの仕組みに変えます。
- 繰り返し作業を洗い出し、自動化候補を選定
- Google Workspace FlowsやDify等のツール選定
- まずは1つのワークフローを自動化
- 新メンバー向けAI活用ガイドを作成
- 月次レポートで効果を可視化
AI採用の今後の潮流・展望
AI採用は今後も進化を続け、採用業務のあり方を大きく変えていくと考えられます。
短期的には、スカウト業務や書類選考など定型的な業務でのAI活用がさらに普及するでしょう。中期的には、AI面接の精度向上や、採用データを活用した戦略立案支援が進むと予測されます。
長期的には、AIエージェントが採用プロセス全体を自律的に最適化し、人事担当者は「AIの監督・例外処理」に回る時代が来る可能性があります。
ただし、最終的な採用判断は人が行うべきという考え方も根強く、AIはあくまで「人の判断を支援するツール」として位置づけることが重要です。人ならではの創造性・共感力が発揮される部分を切り分け、with AIの最適解を模索していくことが求められます。
まとめ
- AI採用とは、AI技術を活用して採用業務を効率化・高度化するソリューションの総称で、日本企業の約57%が導入に前向き
- 2025年は採用広報・書類選考・面接の各フェーズでAI活用が進み、サッポロHDの40%削減、ソフトバンクの70%削減など具体的成果が報告された
- 2026年は技術の進化(マルチモーダルAI、エージェント機能)、業務プロセスの変化(戦略シフト)、候補者の変化(AI対策)の3つの変化が予測される
- AI採用導入は5段階のレベル設計と3フェーズのロードマップで、小さく始めてチームに広げていくアプローチが有効


