
面接がカギだった?内定承諾率を上げるためのアトラクト面接戦略とは
💡 この記事で学べること
- 売り手市場で承諾率が下がる構造的な理由
- 面接の設計が変わらないと起きること
- 解決策としての「アトラクト面接」の考え方
- 承諾率を高めるアトラクト面接4つの実践ポイント
- AIサービスでアトラクト面接を強化・仕組み化する方法
「売り手市場で、候補者に選ばれにくくなっている」——これは構造的な問題です。承諾率の低下を、気合いや条件引き上げで解決しようとしても限界があります。採用広報を強化しても、面接の設計が変わらなければ辞退は止まりません。カギは「面接の場」にあります。本記事では、承諾率が下がる根本原因と、解決策としての「アトラクト面接」を解説します。
採用の主導権は、企業から候補者へ移った
求人倍率が示す「売り手市場」の現実
採用市場の構造は、大きく変わりました。
厚生労働省の調査によると、2024年の有効求人倍率は1.25倍(年間平均)です。営業職や一部の職種では2倍を超える水準が続いています。求人数が求職者数を大幅に上回っている状態です。(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年12月分及び令和6年分)」)
この状況下では、優秀な候補者ほど複数の選考を同時に進めます。複数の内定を手にしたうえで、最後に企業を選ぶのが当たり前になっています。
「面接の設計」だけが変わっていない
多くの企業がいまも面接を「企業が候補者を評価・選考する場」として設計しています。
しかし候補者にとって、面接は「企業を見定める場」です。「この会社で自分は活躍できるか」「一緒に働く人はどんな人か」「自分の志向と合っているか」を、面接を通じて判断しています。
この認識のギャップが、辞退を生む最大の原因になっています。
内定承諾率が上がらない3つの根本原因
原因1 面接が「選考」のままで「魅力付け」になっていない
評価・スクリーニングに集中するあまり、候補者の入社意欲を高める行動がゼロになっているケースが多くあります。
候補者は面接後に「圧迫感があった」「自分のことに興味なさそうだった」と感じると、承諾率が大きく下がります。評価の目線だけが前面に出た面接は、候補者の離反を招きます。面接官が「選ぶ側」の感覚で臨んでいる限り、候補者は「ここで働きたい」とは思いません。
原因2 候補者一人ひとりへの準備が不足している
面接前の準備不足も、承諾率低下の大きな要因です。
レジュメを読む時間が取れず、面接直前に慌てて確認するケースは珍しくありません。結果として、どの候補者にも同じ質問・同じトークをする画一的な面接になりがちです。
しかし、候補者ごとに「刺さるポイント」は異なります。「成長環境」を重視する人もいれば、「社会的意義」や「チームの雰囲気」を重視する人もいます。個別に準備されていないアトラクトは、候補者の心に届きません。
原因3 面接データが蓄積・活用されていない
「なぜ辞退されたのか」「どの面接官の承諾率が高いのか」——こうした問いに、データで答えられる企業はごく少数です。
多くの企業では、面接の振り返りが感覚と経験頼りになっています。承諾率の高い面接官が持つノウハウも、個人の中に留まり続けます。改善サイクルが回らないまま、同じ辞退が繰り返されます。
解決策は「アトラクト面接」にある
アトラクト面接とは何か
アトラクト面接とは、評価しながら同時に候補者の「ここで働きたい」という気持ちを醸成する行為を指します。
採用広報(オウンドメディア・SNSなど)は候補者の「期待値を作る」段階です。面接はその期待値を「裏切るか・超えるか」を決める段階。アトラクトが機能する面接は、候補者の期待値を上回る体験を提供します。
なぜ面接がアトラクトの最重要タッチポイントなのか
面接は、候補者が企業のリアルに最も近づける場です。
社員と直接対話し、雰囲気を肌で感じ、企業文化を体感する。その体験が、採用広報で形成された「印象」を上書きします。面接官の言動・態度は、そのまま「企業文化の体現」として候補者に伝わります。
内定承諾の意思決定は、内定通知後ではなく面接中・面接直後に固まることがほとんどです。だからこそ、面接の場でのアトラクトが承諾率を直接左右します。
アトラクト面接を実践する4つのポイント
ポイント1:候補者ごとに「刺さる訴求」を事前に設計する
まず取り組むべきは、候補者の志向・経歴・懸念点を読み解くことです。
レジュメや過去の選考情報から「この人が転職で何を求めているか」「何が不安か」を仮説立てし、それに合わせたアトラクトポイントを事前に準備します。面接官が「この人に伝えるべきこと」を明確に持っているだけで、面接の質は大きく変わります。
ポイント2:面接中に「評価」と「魅力付け」を同時に進める
深掘り質問にアトラクトを組み合わせることが、面接設計の核心です。
たとえば「前職でどんな成果を出しましたか?」と聞くだけでなく、「その経験を活かせる場がうちにある」という文脈につなげます。候補者が「この会社を選ぶ理由」を自分の言葉で語れるよう誘導する——これが面接官の腕の見せどころです。
ポイント3:面接後に「言語化されたフォロー」を迅速に届ける
面接後のフォローが、内定承諾の最後の砦です。
面接でモヤモヤが残ったまま放置されると、候補者の気持ちは他社に向きます。面接でよかった点の言語化・次のステップの明示・懸念点の先回り解消など、迅速かつ個別のフォローが承諾率を押し上げます。
ポイント4:「勝ちパターン」を組織全体に横展開する
承諾率の高い面接官には、共通するパターンがあります。
質問の種類・時間配分・アトラクトの伝え方を分析し、ハイパフォーマーのスタイルを言語化して組織全体に共有します。個人のノウハウを「組織の仕組み」に変換することで、面接の質が底上げされます。
アトラクト面接に取り組む企業の事例
事例1:グッドパッチ ——「アトラクトはファンづくり」の3つのスタンスで内定承諾率向上
グッドパッチでは「アトラクトはファンづくりである」という考え方のもと、スカウト送信から選考終了まで一貫して次の3つのスタンスを実践しています。
- ①引き出す:面談・面接を「候補者の転職軸を引き出す場」として設計する。冒頭で「今日の期待値」と「聞きたいこと」をヒアリングし、その人に合った会社説明に切り替える。「現職に不満はない」と話していた候補者を深掘りしたところ「組織規模の変化」「キャリアの停滞感」が浮かび上がり、入社につながった事例もある
- ② 欠けたピースを埋める:①で引き出した情報をもとに「この人が自社に興味を持つために足りていないものは何か」を考え、自社の強みの中からそのピースになり得るものを選んで訴求する。埋められないピースは無理に埋めない——ミスマッチ防止もアトラクトの一部と位置づけている
- ③ ファーストコンタクトから全力:最終選考直前だけ力を入れるのではなく、最初のコンタクトから全力でアトラクトする。面談から選考に進んでもらえなかった場合は「アトラクトが不十分でファンになってもらえなかった」と内省し、次のアクションに活かす
これを選考官全員が実践した結果、一度選考フェーズに入った候補者の途中辞退はほとんど発生せず、内定承諾率が向上しています。
事例2:A社(IT業界)——AI活用×研修で承諾率を1年で倍増
A社ではかつて内定承諾率が40%台で推移しており、採用目標を達成するために多大なコストと工数をかけていました。
課題の根本は「面接の設計」にあると判断し、次の2つの施策を同時に実施しました。
- AI活用による効率化:スカウト文章の最適化・面接前準備の自動化・面接後フォローのスピード向上
- 社内向けアトラクト研修:候補者ごとに「刺さる訴求」を設計する手法を全面接官に展開し、惹きつけの型化を推進
取り組み開始から1年で、内定承諾率は40%台から80%へと約40ポイント向上。採用目標を追加コストなしで達成できる体制が整いました。
今すぐできるアトラクト面接の取り組み
ツールの導入や仕組みの整備を待たなくても、明日からすぐに始められるアクションがあります。
✅ 面接前(準備)
- 候補者のレジュメを事前に読み込み、「この人の転職軸」を1つ仮説立てする→ 「成長環境重視なのか」「裁量重視なのか」を仮決めするだけで、面接の問いかけが変わる
✅ 面接中(実践)
- 必ず1つ、相手のキャリアや経験に関心を示す質問を入れる→ 「〇〇の経験、詳しく聞かせてください」——評価のためではなく、純粋な興味として聞く
- 「弊社ならこう活きます」を伝える→ 候補者の経験や強みを、自社の文脈に結びつけるひと言が入社意欲を動かす
✅ 面接後(フォロー)
- 面接後24時間以内に、よかった点を1行でもメモしてフォローに使う→ 「〇〇さんが話していた△△の経験、弊社の□□プロジェクトにすごく合うと思いました」
✅ 組織として(仕組み化の第一歩)
- 月1回、面接官同士で「承諾につながったと感じる言葉・場面」を共有する場を作る→ 5〜10分のミーティングで、勝ちパターンの言語化が始まる
これらは今日から実施できます。小さな改善の積み重ねが、承諾率の底上げにつながります。
生成AIをアトラクト面接に活用する
「今すぐできる取り組み」の精度をさらに上げる手段として、ChatGPTなどのチャット型生成AIツールが活用できます。
チャット型生成AIツールでできること
チャット型生成AIツールの限界
一方で、チャット型生成AIツールには以下の限界があります。
- 面接中のリアルタイム支援ができない:画面を切り替えながらの利用は面接の流れを壊す
- 採用データが蓄積されない:面接ごとの情報が連携されず、改善サイクルが回らない
- 面接官ごとの比較・分析ができない:誰の承諾率が高いか、なぜ辞退されたかをデータで把握できない
- 毎回プロンプトを書く必要がある:属人的な手作業が残り、組織全体への横展開が難しい
汎用AIは「点」の改善には有効ですが、採用チーム全体で承諾率を底上げするには「仕組み」が必要です。
HRmony AIでアトラクト面接を仕組み化する
HRmony AIは、デザイン会社グッドパッチが運営する採用面接の質向上に特化したAIサービスです。
アトラクト面接の4つのポイントは、優れた面接官の属人的なスキルに依存しています。「できる面接官だけが実践できる」状態では、組織全体の承諾率は上がりません。
HRmony AIでは、アトラクト面接を「仕組み」として採用プロセスに組み込み面接の前・中・後それぞれのフェーズで、面接官をAIがサポートします。
AI面接官が「面接を自動化する」ツールであるのに対し、HRmony AIは「人間の面接官の能力をAIで底上げする」ツールです。面接を機械に任せるのではなく、面接官が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、前・中・後の全フェーズでAIが伴走します。
AI面接官は「量を捌く効率化」に強みを持ちます。HRmony AIは「一人ひとりの面接の質を高め、内定承諾率を上げる」ことに特化しています。どちらが優れているかではなく、「何を解決したいか」によって使い分けが変わります。
まとめ
- 売り手市場の現代、採用の主導権は企業から候補者へと移っている
- 内定承諾率が上がらない根本原因は「面接が選考の場のまま変わっていない」こと
- 解決策は「アトラクト面接」——評価しながら候補者の入社意欲を高める面接設計
- 実践には4つのポイント(事前準備・面接中の両立・面接後フォロー・勝ちパターンの横展開)が重要
- HRmony AIはアトラクト面接を「仕組み」として採用プロセスに組み込み、承諾率向上とコスト削減を実現する
面接は、候補者が「この会社にする」と決める最大の瞬間です。その場をアトラクトの機会に変えられるかどうかが、採用力の差を生みます。


